多文化コミュニケーション
文化、こころ、ことば、さらには人間関係の作り方など、異なる背景をもつ他者とのコミュニケーションを学び、多文化共生社会の実現に向け、活躍できる人材を目指します。
この領域の科目例
多文化コミュニケーション
新しい文化や他者との出会いを通して、個人がどのように成長し変化していくかを学びます。
多文化コミュニケーション・デザイン
様々な背景をもつすべての人が対等・公正に関わるための理念、手法を学びます。
文化心理学(グローバル社会)
多文化社会における対立の様子を理解し、それらを作りあげる心理プロセスを分析していきます。
対人コミュニケーション(ジェンダー)
言語による対人コミュニケーションの男女差を学ぶとともに、社会のジェンダー観について考えます。
言語の多様性と普遍性B
世界の音声言語や手話の間に見られる違いとその基盤となるシステムを探求する思考法を学びます。
日本語教育実習
日本語授業の内容と方法について学び、学内または学外の日本語教育の現場で実習を行います。
4年間の履修計画の例
基礎
幅広くコミュニケーション研究の基盤となる知識を身につけます。
入門
- 心理・コミュニケーション概論
- 心理学概論
- コミュニケーション概論Ⅰ
- コミュニケーション概論Ⅱ(多文化)
- コミュニケーション概論Ⅱ(メディア)
- コミュニケーション概論Ⅱ(情報デザイン)
基盤講義
- 先端トピック概論(コミュニケーション)A
基盤演習
- 1年次演習(コミュニケーション)
基礎+実践
コミュニケーションを研究するための技法やデータ分析を実践的に学びます。
基盤講義
- コミュニケーション統計法1
- コミュニケーション統計法2
特殊講義
- 文化心理学(グローバル社会)
- デザイン心理(聴覚)
- 多文化コミュニケーション
- 日本語教育研究概論I
- 日本語教育研究概論II
- 第二言語習得基礎論A
- 第二言語習得基礎論B
基盤演習
- 2年次演習(コミュニケーション)
- コミュニケーション研究法入門
- オーラルコミュニケーションスキルズ
専門+研究
コミュニケーションを体系的に学び、多文化コミュニケーションについて理解を深めます。
特殊講義
- メディアとことば
- 多文化教育
- 言語コミュニケーション能力の発達
- 日本語教育研究I
- 日本語教育研究II
- 日本語学(表記・語彙)B
- 日本語学(文法・談話)B
発展演習
- 3年次演習(コミュニケーション)Ⅰ
- 3年次演習(コミュニケーション)Ⅱ
- コミュニケーション研究法実習(内容分析)
- 多変量解析
個性的なテーマの解明
自分の研究テーマに取り組み、データに基づいた実証的な卒業論文を完成させます。
特殊講義
- 文化心理学(文化と自己)
発展演習
- 4年次演習(コミュニケーション)Ⅰ
- 4年次演習(コミュニケーション)Ⅱ
- 日本語教育実習
卒業論文
- 卒業論文
先生のおすすめ図書
どの本も予習やレポートにとても役立ちます。図書館にあるので気軽に手にとってみてください。
唐澤真弓先生のおすすめ図書
日本人のしつけと教育 -発達の日米比較にもとづいて-
著者 | 東洋(シリーズ人間の発達、12) | |
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出版社 | 東京大学出版会 |
日米比較研究のパイオニア、心理学的比較研究の第一人者による、日本における文化的特徴と発達の分析。日本人とアメリカ人のものの考え方や感じ方の違いを浮き彫りにしながら、その原因になるしつけや数育の仕方、考え方の特色を具体的な研究例をあげて述べ、さらにそれらが文化的伝統をどう反映しているか、どういう社会に対する適応として形成されているかを追究したものです。心理、教育の視点から、日米比較研究のありかたと研究の未来を包括しています。
Clash!: How to Thrive in a Multicultural World
著者 | Hazel Rose Markus、Alana Conner | |
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出版社 | Plume |
情文化心理学の第一人者Markus教授による、文化差、政治体制の差、そして社会的階級の相違について、その心理的ルーツと解決方法を語った書物です。心理学と現実世界との関連を示しています。
木を見る西洋人 森を見る東洋人 -思考の違いはいかにして生まれるか-
著者 | リチャード・E・ニスベット | |
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訳者 | 村本由紀子 | |
出版社 | ダイアモンド社 |
洋人と西洋人の思考や心理が文化によってどのように違うのか、その違いが生じるのはなぜかを科学的に論じています。「世界についての考え方は根本的にひとつである」とする心の普遍性の前提に挑んだ書物です。
川崎典子先生のおすすめ図書
我々はどのような生き物なのか
著者 | ノーム・チョムスキー | |
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訳者 | 福井直樹、辻子美保子 | |
出版社 | 岩波書店 |
言語の研究を人間のこころのしくみの解明と位置づける理論言語学者で、世界の様々な現実の中で自由を求める人とともに生きる活動家でもある著者が、2つの営みを貫くWhat kind of creatures are we? という問いをタイトルに日本で行った連続講演の記録です。
Child Language, Routledge.
著者 | Peccei、Jean Stilwell | |
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出版社 |
様々な「言い間違え」を含むこどもの発話を分析すると、こどもの脳の中に言語のシステムが着実に発達していくことが見えてきます。実際の発話データを活かした練習問題を中心に組み立てられていて、いろいろな発見をしながら、コーパスを活用した調査・分析の技能(と英語力)を伸ばすことができます。
文法が基礎からわかる日本手話のしくみ/日本手話のしくみ練習帳 DVD付
著者 | 岡典栄、赤堀仁美 | |
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出版社 | 大修館書店 |
日本手話の文法入門書とドリルブック。日本手話の「発音」、語彙、文法、表現の解説・具体例から、音声言語と手話言語に共通する言語のしくみ、聴覚を使う言語と視覚を使う言語の違いが見えてきます。
熊谷智子先生のおすすめ図書
基礎から分かる会話コミュニケーションの分析法
著者 | 高梨克也 | |
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出版社 | ナカニシヤ出版 |
話分析の入門書です。分析に用いられる基本的な概念を分析事例とともに解説し、最近の研究のトピックについても分かりやすく紹介しています。
ポライトネス -言語使用における、ある普遍現象-
著者 | ペネロピ・ブラウン、スティーヴン・C・レヴィンソン | |
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監訳者 | 田中典子 | |
出版社 |
多くの言語コミュニケーション研究に援用されているポライトネス理論について書かれた原典。理論を構成する概念やポライトネス・ストラテジーの解説、複数の言語文化におけるポライトネスの事例など、この理論をきちんと理解する上では必読の書です。
社会言語学の展望
編者 | 真田信治 | |
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出版社 | くろしお出版 |
言語変種、言語行動、言語生活、言語接触、言語意識など、社会言語学の主たるトピックに関して、それぞれを専門とする研究者たちが解説と研究事例を寄せた概説書。各章の巻末に演習問題も付いています。
松尾慎先生のおすすめ図書
まんが クラスメイトは外国人 -多文化共生20の物語-
著者 | みなみ ななみ、「外国につながる子どもたちの物語」編集委員会 | |
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出版社 | 明石書店 |
日本では年々、外国にルーツを持つ子どもたちが増えています。例えば、日系ブラジル人の子どもや中国帰国者の子どもたちです。そうした子どもたちはどうして日本に来たのでしょう。そして、どんなことを思っているのでしょう。日本語の習得や母語の喪失、アイデンティティの揺れ、イジメ、その他、様々な困難な状況に直面している子どもが少なくありません。どの専攻の学生にも一読をお勧めします。
ことばと国家
著者 | 田中克彦著 | |
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出版社 | 岩波新書 |
沖縄のことばは方言なのか、言語なのか。そして、韓国語と朝鮮語ってどう違うのか。母語と母国語の違いは何か。そもそもあなたの母語は何なのか。ことばを考えることを通して、批判的思考能力を高めることができます。また、自分自身が何者であるのか問われることでしょう。記述のすべてを納得できるわけではないですが、それでも、不朽の名作です。
在日外国人 第三版 -法の壁、心の壁-
著者 | 田中宏 | |
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出版社 | 岩波新書 |
筆者は、半世紀前にアジアからの留学生に出会い、その後、在日韓国・朝鮮人や留学生、労働者、難民などを取り囲む「壁」を打ち破るために、長年にわたって尽力してきました。決して読みやすい本ではありませんが、じっくり腰を落ち着けて読んでもらいたいロングセラーの一冊です。
多文化コミュニケーション領域の卒業論文
- 「おひとりさま」の日韓比較
- つくる自分つくられる自分
- 感情場面における異文化体験の影響
- 視点と言語表現
- 幼児の言語習得
- 否定の意味を持たない「ない」
- スピーチレベルシフトに関する研究 -親しい先輩・後輩の会話をもとに-
- 役割語に関する研究 -海外ドラマの吹き替えに注目して-
- 謝罪表現に関する研究 -謝罪される側の視点から見る謝罪-
- 母語話者と非母語話者のコミュニケーションに関する研究 -日本語談話データからみた双方による言語調整-
- 在日コリアン社会とアイデンティティ -朝鮮大学校の学生へのインタビューを経て-
- ヘイトスピーチに関する研究
- 災害時における在住外国人に対する情報保障
- ろう者の言語環境に関する研究 -音声言語中心の社会で暮らすろう者-