卒論紹介

2018年度
ファン行動における社会的迷惑行為ーAKB48を例としてー
【方法】(1)2018年7月8日に握手会会場で、2018年7月11日から12日にかけてweb上で、AKB48グループのファン218名(男性176名、女性41名、その他1名、平均年齢27.40歳)を対象に、ファン行動、ファン心理、迷惑認知度、社会考慮尺度を尋ねる質問紙調査を行った。なお、ファン行動、ファン心理、迷惑認知度は筆者が作成した項目、社会的考慮尺度は吉田ほか(1999)の尺度を使用した。
(2)2018年8月26日にAKB48のグループのファン8名(男性6名、女性2名、平均年齢25.38歳)を対象にインタビュー調査を行った。質問内容は、迷惑行為8項目について、その行為を迷惑と判断する基準を尋ねた。

【考察】他のファンとのコミュニケーションが活発な人は迷惑行為を行いやすく、迷惑行為を行っている人ほど迷惑認知度が下がることが示唆された。またファンは、迷惑行為によるメンバーへの影響を重視しているため、メンバーのことを考えている人ほど迷惑認知度が高まると考えられる。ライブで起こる迷惑行為は、鑑賞行為を重視している人ほど迷惑認知度が高くなる可能性がある。ファン行動における迷惑認知度と社会考慮の関係が明瞭でないのは、ファン行動においては社会への影響が考慮されないことが一因と思われる。

2019年度
Instagramによる影響と利用者の特徴
【方法】「Instagramが与える影響と利用者の特徴」に関する計13問、全9ページで構成された質問紙を作成し、2019年10月8日に東京女子大学の学生を対象とした質問紙調査を実施した。

【考察】利用者の特徴について様々な心理尺度を用いて調査を行ったが、共通して見られる特徴が「他人の評価を気にする」ということである。他人に「認められたい」「褒められたい」「嫌われたくない」などの思いがInstagramの利用頻度や投稿時の行動に影響を与えている。またこれらの思いが、「ストレス」や「不安」など心の健康に影響を及ぼしている。

2020年度
新型コロナウイルスに関する報道分析
【方法】新型コロナウイルスの感染第1波とされている2020年3月12日から5月29日を分析対象の期間としている。ハードディスクへ録画したニュースウォッチ9、NEWSZERO、NEWS23、報道ステーションの4番組、合計228番組の新型コロナウイルスに関する報道について、コーディングシートとコーディングマニュアルを作成し内容分析を行った。

【結論】4つのニュース番組について時期比較・番組比較を行い、新型コロナウイルスに関する報道を分析してきた。結論として、時期の移り変わりや番組の違いによって新型コロナウイルスに関する報道に変化や違いがあることが明らかにとなった。分析対象期間であり新型コロナウイルスの流行第1波ともいわれる3月から5月までの間の異様なまでの報道が視聴者の不安を煽り、新型コロナウイルスに対する過剰なイメージを与えることに繋がったのではないだろうか。今回は報道番組の分析しか行っておらず、新型コロナウイルスに関する報道の偏りが視聴者に及ぼす影響までは調査できていないため、今後の課題として視聴者への調査が必要であると考える。

2021年度
文末の表現ーLINEにおける文末の三点リーダーの機能ー
【方法】Googleフォームを用いて質問紙調査を行った。はじめにLINEで使用したことのある三点リーダー文の回答を求めた。次に「提案/断り/伝聞/意見/謝罪/依頼/感想(ポジティブ・ネガティブ)」の8つのメッセージを作成し、それぞれ「記号なし/三点リーダー(•••)/エクスクラメーションマーク(!)/三点リーダーとエクスクラメーションマーク(•••!)」の4種類(提案と依頼では「クエスチョンマーク(?)/三点リーダーとエクスクラメーションマーク(•••!)の2種類)の異なる文末表現ごとに感情や態度に関わる5〜7項目を提示し感じた強さについて5段階で回答を求めた。

【考察】三点リーダーを文末に用いることで、「間」という微妙なニュアンスを受けてに伝えられ、言いさし等の日本語の話し言葉らしさを再現する役に立っているといえる。また、オンラインでの文字のやりとりでは、文字と記号のみの少ない手がかりから送り手の感情が推定されてしまうため、文末の記号によりプラスかマイナスかの漠然とした態度を示すことで、たとえ現実の話し手の態度を再現していなくとも、受け手の誤解を防ぎ、オンラインでの文字のやりとりをスムーズに行う役に立っているといえる。

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