はてなのメガネでのぞいてみよう

こんにちは。コミュニケーション専攻 白銀ゼミ4年の梶塚満です。

卒業できることが確定し、非常に安堵しております。今回は4年間コミュニケーション専攻で学んだことについて思うことを書いてみようと思います。

私が小学3年生の頃、総合学習の時間にこんな活動を行いました。「はてなのメガネで身の回りのものをのぞいてみよう!」簡潔に言うと、身の回りのものについて5W1Hを使って疑問を持ち自身で解決してみよう、というもの。

2020.03.18_虫眼鏡

小学3年生の私はなぜかマンホールをはてなのメガネでのぞいてみることにしました。8月の炎天下に母を外へ連れ出し、最寄り駅前にあるマンホールを片っ端から写真に収め、どこにどのようなマンホールがあったのかを地図に書き記しました。いま考えるとなかなかの狂気の沙汰です。でも、そのときに「下水道のマンホールには汚水と雨水、合流の3種類があるらしい」「NTTグループの前身は電電公社なるものだったらしい」など、新しい知識を得ることができました。

人間にはエピソード記憶という記憶があります。知識と自身の経験を結び付けることで長期的に知識を記憶できるというものですが、はてなのメガネを使って得たこの小さな知識は10年近く経った今も私の頭の中に残っています。

大学に入る前までの調べ学習は、本やインターネットから答えを見つけておしまい、でした。なぜなら抱いた疑問の答えはほとんどの場合、すでに自明の事実となっていて、自らその事実についていちいち立証する必要がなかったからです。しかし、このコミュニケーション専攻ではさらにワンランク上の「調査」を学びます。先行研究を調べることはもちろん必要ですが、それ以外にデータを自ら集めて分析することで「自分ならではの答え」を見つけて立証することが求められます。

小学校3年生で会得した5W1Hがはてなのメガネなら、コミュニケーション専攻の4年間で学ぶのは「はてなの顕微鏡の使い方」だと私は思います。1年生では3つの分野を横断的に学習し、自分が興味を持てる分野を探します。「何を」顕微鏡で観察するかの選択です。そして2~3年生では様々なデータ収集方法や統計分析を学習します。これが顕微鏡の仕様設定。

顕微鏡って観察対象物に合ったレンズ・フィルターを使っていなかったり、ピントの調節方法を知らなければ上手く観察することができませんよね。自分ならではの答えを見つけるには「どのような」レンズ・フィルターを使えばいいのか、「どのくらい」絞りを回せばいいのか。自分で適切な設定ができるようにそれぞれの仕様特性を学びます。4年生では自分で設定した顕微鏡で自分の選んだ対象物について観察し、見つけた「自分ならでは答え」を一冊の論文にまとめます。これが卒業論文です。

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...こんな偉そうなことを言っていますが「はてなの顕微鏡」を使いこなすのはとても難しく、正直なことを言うと私は4年かけても使い方をマスターすることはできませんでした(泣)

でも、4年間で間違いなく多角的な視点を得ることはできます。この専攻では、普段何気なく行っている行動や使っているモノについて、そのプロセスや傾向、意味を学ぶ機会が多く、ハッ!とする瞬間がたくさんあります。これがこの専攻の楽しいところ。料理の味見という身近な行為が、標本から無作為抽出を行う統計的推測行為の1つだと学んだときは「確かにそうだけど考えたことなかったなぁ~」と新しい視界が開けたような感覚になりました。研究法について学んだうえで自分が興味を持ったことについて「自分ならではの答え」を見つけようと努力できたこと、ありふれた日常について新たな気づきを得られたこと、こうしたコミュニケーション専攻での学びが経験として今後の私を形成していくことを大変嬉しく思います。出来の良し悪しはあるかもしれませんが、苦労しながらデータを収集・分析し1本の論文を執筆した経験はずっと記憶に残る一生ものの財産です。

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残念ながら今年はコロナの影響で卒業式が中止となってしまいました。東女の美しい校舎の前で友人と晴れ着姿で写真を撮れないのは少し寂しいですが、東京女子大学で学業を修めたという誇るべき事実に変わりはありません。本専攻での経験を糧とし、4月から社会人として頑張っていこうと思います。

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