絵本の世界
みなさんは、最近、絵本を手にとって読んだことがありますか? 小さい時以来、絵本には接していないという人が少なくないかもしれません。
訳あって、秋になると大きな本屋さんの絵本売場に行って絵本を物色するのが習慣になりました。10月だとハロウィーン、11月だとクリスマスのお話も多いし、もちろん、ハロウィーンもクリスマスも関係ない絵本もたくさんあります。
昨年の11月、特に気に入ったのは、『ねこはるすばん』と『うごきません。』の2冊です。『ねこはるすばん』は、このところ新聞などでよく紹介されていますが、出てくる猫が友人の飼っているゲンちゃんにうりふたつで、思わず友人の分も買ってプレゼントしてしまいました。『うごきません。』はハシビロコウのお話です。びっくりすることがあっても、恐いものが寄ってきても、じっと動かないハシビロコウ...、最後にほっこりするオチがついています。
『はらぺこあおむし』や『スイミー』のような外国のものも有名ですが、日本の絵本、とてもすてきです。ストーリーも発想もすごく豊かで、絵も水彩画、油絵風、イラスト、色鉛筆画、ペン画、墨絵、貼り絵などなど、アートとしても十二分に楽しめます。
同じ絵本を見ても、小さい時と今の私の年齢では、まったく違うことを感じ、思うものですね。たとえば、もしヨシタケシンスケさんの絵本(私が一番好きなのは『わたしのわごむはわたさない』です)が何十年も前にあって、子どもの、または高校生の私が読んでいたら、絵本の中のことばやできごとは違った意味や響きをもって伝わってきたに違いありません。絵だけを眺めるにしても、何を感じるかはやはり異なるはずです(そもそも「アートとして楽しめる」なんて小ざかしいことは考えないでしょうし)。
そんな風に思うたびに、子どもの時以来、ずっと絵本にふれないでいたのが少し悔やまれます。高校生、大学生の感性で絵本を開いていたら、どんな世界が広がったかな、と思います。何か今とは違った、そして幼い頃とも違った、別の景色が見えたかもしれない。
みなさんも機会があったら、絵本を手にとってみてはいかがでしょうか。子どもの頃とはまた違う感覚で、絵本の世界を味わえるかもしれません。
(ハシビロコウのイラストは、しろうさぎ工房さんご提供です)