コロナ禍とインフォーマルコミュニケーション

皆さん、お元気にお過ごしでしょうか。4年生は卒業論文の提出期日が近づき、執筆の仕上げに入る頃です。この時期は、まだ冬の寒さに慣れていないこともあり心身に応えます。どうぞ、体調を整えて、自分が満足できる卒論になるようにがんばってください。

昨年に続き2021年も、コロナウイルスによって私たちの生活が制限されました。 コロナ禍において、私は「インフォーマルコミュニケーション」について今までにないほど考える機会になりました。 対面が困難な中で、SNSをはじめとするインターネットを用いたコミュニケーション手段は私たちのインフォーマルなコミュニケーションにどの程度貢献し、私たちはこれらのコミュニケーションによってどの程度の安らぎを得られたのでしょうか。

バーでおじさんが飲んでいる様子

私は、学生の皆さんや同僚、家族とはオンラインや電話でコミュニケーションができていましたが、それ以外の友人とのコミュニケーションはかなり減りましたし、最も深刻でしたのはいわゆるサードプレイスでのコミュニケーションでした。酒場でたまたま隣に座った人との会話など気軽なコミュニケーションがゼロになったことです。コロナ前はあまり意識しなかったのですが、コロナ禍の時間を過ごしたことで、家族でも友人でも同僚でもないお互いの名前すら知らない人とその時々に生まれる話題で進むその場限りの小さな会話が、日々の安らぎの中の小さくない部分を占めていたことを今は強く感じています。また、自分の学生時代を思い出すと、サードプレイスは安らぎだけではなく多くの人から多くのことを学ぶ場所でもありました。私は理工系の学生でしたが、そこでは、大学の授業で毎日学んでいることではない、文学や美術、音楽、映画、舞台芸能などさまざまな知性に触れることができ、私にとってインフォーマルラーニングの時間にもなっていました。

皆さんがキャンパスに来る理由は授業を受けたり部活やサークル活動をすることだけではないでしょう。きっと、ちょっとした立ち話や友人に手を振ったり挨拶をすること、また「その場所にいること」にもあるように感じます。テクノロジーによって、場所や時間の制約のないコミュニケーションが可能になりました。しかし、空間と時を共有することによって「自然に」生まれるゆるいコミュニケーションも私たちの日々のストレス緩和やなにかの学びになっているのではないでしょうか。

2022年4月に、本学に教育・学修支援センター(Center for Teaching and Learnig:CTL)が設置されます。CTLにはスタッフが常駐して特にICTを使った学習と教育を支援します。また、学生の皆さんが参加できる研修やイベントも企画していく予定です。さらに、学生の皆さんがインフォーマルラーニングにも利用できるラーニングコモンズも整える予定です。ぜひご期待ください。

加藤尚吾

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