東京女子大学の魅力を知る〜女性学研究所とは〜

こんにちは.コミュニケーション専攻の教員の有馬です.今年4月より学内に付設されている東京女子大学女性学研究所の副所長も兼務しています.今回のブログでは,この研究所のことを書かせていただき,東京女子大学の知られざる魅力をお伝えしたいと思います.

大学には学生への教育を主に担う学部・大学院の他に「研究所」が付設されていることが多いです.東京女子大学の女性学研究所もその一つで,1990年に女性学の奨励と発展に貢献することを目的に設立されました.今日では,女性学に留まらず男性学やジェンダー全般も視野に入れた研究助成,本学の学生はもちろん学内外の人たちに向けた講演会他,さまざまな事業を展開しています.女性学やジェンダー学をテーマとした研究所は,国内ではお茶の水女子大学,一橋大学,早稲田大学,国際基督教大学,青山学院大学,昭和女子大学,愛知淑徳大学などに設置されており,未だに多くの課題が山積されていることがうかがえます.

女性学研究所(外国人教師館)の外観

では,東京女子大学女性学研究所が今年度行っている事業の一部を簡単に紹介しましょう.研究者だけではなく,大学生や高校生,一般の方が参加できるものもあります.

Woman's Cafe:
学期中のお昼休みにオンラインで実施しています.私は学生や学外の方に説明する際,「お昼休みに行われるミニレクチャー」と説明しています.まさにそんな感じです.今年度はこれまでに「森発言はどのように受け止められたか:ジェンダーとメディア利用からの検討」「Visual Representations of Older Women in Cosmetic Advertising (化粧品広告における高年女性の視覚的表象)」が行われました.10月11日(火)には学内限定となりますが,「スウェーデンにおける家族のカタチーLGBTに対するカリキュラムから」が開催されます.事前申し込みの上,ご参加ください.
女性史青山なを賞:
女性史研究に先駆的業績を残した故青山なを氏の御遺贈による基金で1986年に創設され,今年は第37回となります.前年に日本語で著され出版された女性史研究の優れた単行本に贈られ,授賞式と受賞記念講演会が実施されます.昨年2021年度の受賞作は桑原ヒサ子氏の『ナチス機関紙「女性展望」を読む―女性表象,日常生活,戦時動員』(青弓社)でした.
読書会:
今年度の新たな試みとして6月に本学の学生を対象に研究所の会議室で連続3回マンガ『深夜のダメ恋図鑑』を題材に読書会を実施しました.落ち着いた雰囲気の中で互いを尊重しながらも活発な意見交換が行われました.参加学生たちは,その後も自主的に読書会を続けています.とても悦ばしいことです.

他にも「女性学研究所年報」の発行,在学生や卒業生に対する研究助成・奨励他の事業を行っています.

最後に女性学研究所の所在を明かしましょう.東京女子大学は都会の喧騒から離れた住宅街杉並区善福寺公園の近くにありますが,まさに善福寺公園の緑の木々を思わせる学内の木立の中,正門から見える本館の奥にあります.本学の建物のいくつかは第二次世界大戦前に建築家アントニン・レーモンド(1988-1976)によって設計された歴史的建造物ですが,女性学研究所が入る「外国人教師館」(1924(大正13)年築)もそのうちの1つで,1998(平成10)年に文化庁登録有形文化財となりました(キャンパス紹介).白壁を基調としたどっしりとした造りの建物の外観は存在感があります.建物の中も歴史を感じさせます.高い天井に白壁,板張りの茶色の床や階段,造作家具も備え付けられた立派で落ち着きのある空間です.一見の価値あり.キャンパスに来た折には,ぜひ女性学研究所にお立ち寄りください.

外国人教師館を入ったところにある階段
外国人教師館を入ったところにある階段
女性学研究所の会議室
女性学研究所の会議室

有馬明恵

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